前妻との子や非嫡出子は遺産を相続できるのか
故人に離婚歴があり前妻との間に子どもがいる場合や、婚姻関係のない女性との間に子をもうけた場合、それらの子に相続権はあるのでしょうか。
相続では戸籍上の親子関係の有無が非常に重要になりますので、ここでは前妻との子や非嫡出子の相続権について解説します。
元配偶者との間に生まれた子は相続人となる
故人が離婚を経験しており、かつての配偶者との間に子がいた場合、その子どもは正当な相続人となります。夫婦は離婚により他人同士へと戻りますが、子どもは故人との血縁関係があるため当然のこととして相続権を持つのです。
なお、離婚時に子が未成年の場合、両親のうちどちらかを親権者と決めて離婚しますが、仮に親権を持たない方の親が亡くなった場合でも、子の相続権は依然として有効です。
嫡出子と非嫡出子の違いと相続割合
故人の配偶者との子や別れた配偶者との子は、いずれも婚姻関係にあった時点で生まれた子であれば「嫡出子」と呼ばれます。
具体的には、以下の条件を満たす場合が該当。
- 婚姻関係にある配偶者との間に生まれた子
- 結婚後201日目以降に生まれた子
- 父親の離婚あるいは死亡後300日以内に生まれた子
- 未婚のまま生まれたが両親が結婚し父に認知された子
- 養子縁組手続を行った子
子の出生時に父母が婚姻関係にあったか、遡って父親の子であることが推測される場合が、嫡出子としての大きな要素となります。したがって、これらの条件に合致しない子は「非嫡出子」とされます。
相続においては長らく、嫡出子か非嫡出子かによって相続割合に大きな隔たりが存在していました。母親を同じくする子であったとしても、嫡出子なら2分の1の相続割合を持ちますが、非嫡出子には4分の1と制限されていたのです。しかし、平成25年の法改正によって、嫡出子も非嫡出子も等しく血のつながりを持つことが重要視され、いずれも子として2分の1の法定相続分が認められるに至りました。
遺産分割協議で揉め事になりやすいのが、浮気等によって生まれた子が認知された場合です。相続の場面になってからいきなり非嫡出子が相続人の1人として現れるのですから、親族としては感情的に受け入れがたい状態になりやすいと言えます。このような状態を避け冷静な話し合いを進めるためには、相続を得意とする弁護士を入れ、客観的視点の元に協議をまとめていく必要があるでしょう。
前妻との子や非嫡出子の遺留分が主張された場合
故人が遺言書で相続分を指定したとしても、その分け方があまりにも不公平である場合、民法で認められた最低限の取り分を「遺留分」として主張することができます。この主張及び請求を遺留分侵害額請求(旧:遺留分減殺請求)と呼びます。
もし、自分が遺留分の請求権者である場合、本来もらえる財産に対してどの程度の侵害があるのか、法的に正しい請求を行うためにはどうすれば良いか、といった難しい問題が伴います。親族間の感情的な軋轢を最大限避けながら、間違いのない主張と手続を行うには、弁護士に依頼して冷静かつ正しい方法を採るべきだと言えます。
一方、遺留分を請求された方についても、ぜひ積極的に弁護士に相談して欲しいと思います。感情的には認めたくないとしても、法律的に認められている遺留分が請求された場合は、必ず支払わなければいけません。しかし、財産評価や遺産の範囲が間違っていれば、当然請求額を減額できる可能性もあります。こうした部分は弁護士に相談してみないとわからないことも多いですので、お気軽にご相談いただければと思います。
前妻との子や非嫡出子の相続問題は弁護士に相談を
相続で最も難しいのは、感情的になってしまった当事者同士の交渉をいかに収めるか、という点にあります。特に、本記事で取り扱ったような、今まで面識のない相続人同士での話し合いは非常にこじれやすく、トラブルに発展するケースがあとをたちません。
相続問題における解決方法はケースバイケースで、実に様々なパターンがあります。多くの引き出しやノウハウを持っている弁護士であれば、依頼者にいろいろな提案ができ、最終的に良い方向へ導くことも可能になるのです。
当事務所は岡山支店だけでも多くの経験とノウハウを持ち、本部を含めた全体ではさらに膨大な情報量を有しています。
当事者だけで抱えることなく、ぜひお気軽に当事務所弁護士までご相談頂くことをお待ちしております。