包括遺贈と特定遺贈の違い|遺言書による法定相続人以外への相続方法

立畑 徳和
弁護士 立畑 徳和 (たてはた のりかず)

遺言書によって財産を譲り渡すことを「遺贈」といいます。

通常は相続人に対して財産が分け与えられますが、被相続人の意思により、相続人以外の人への遺贈が遺言書で指定されることもあるため、遺産分割の際には注意が必要です。

ここでは、遺贈の基本的な知識や、遺贈を利用すべきケース、遺言書の必要性について解説します。

相続人には「相続または遺贈」・相続人以外には「遺贈」

遺贈とは、被相続人の遺言に基づいて財産を分け与えられることを意味し、遺贈を受ける人のことを「受遺者」といいます。

したがって、遺贈によって財産を受け取る相続人や第三者はすべて受遺者ですが、一般的には、法定相続人に対しては相続、相続人以外の人物には遺贈と呼び分ける傾向もあるため、混同しないよう注意が必要です。

遺贈には包括遺贈と特定遺贈の2種類があり、それぞれ法的な意味合いも大きく違っていますので、遺贈を行う場合はそれぞれの特徴をよく理解しておく必要があります。

包括遺贈とは

譲る財産の割合や相手が明記されているものを包括遺贈と呼び、遺言書に「○○に財産の2分の1を遺贈する」等と記載されている場合がこれに当たります。

包括遺贈の受遺者は相続人と同様の権利と義務も負うことになるため、マイナス財産を受け継ぐケースも出てくることに注意が必要です。

遺贈を受けるとどうしてもマイナスになると判断した場合は、包括遺贈があることを知ってから3か月以内に遺贈の放棄をすることができます。

遺産分割協議への参加もできますが、他の相続人にとっては相続人ではない第三者が協議に加わることになるため、そこからトラブルに発展することも考慮して遺産分割協議を進めなければなりません。

このように、包括遺贈は相続に大変近い位置づけであると言えます。

特定遺贈とは

一方、遺言書に「どの財産を誰に遺贈する」と、財産内容と相手が明記されていた場合、これを特定遺贈と呼びます。

特定遺贈は、指定された財産を指定された人物に譲り渡すことで完了しますので、包括遺贈のようにマイナス財産を継承したり遺産分割協議に参加したりする必要もありません。

遺贈を受けた財産が不要であれば、自らの意思で放棄することも可能です。

このような実態から、特定遺贈は贈与と大変よく似た仕組みを持っていると言えます。

包括遺贈や特定遺贈を利用すべきケース

包括遺贈と特定遺贈にはそれぞれ特徴の違いがあることから、各ケースに適した方法を利用すると、相続あるいは遺贈がよりスムーズになります。

包括遺贈を選択すべきケース

財産内容を特定せず、遺贈の相手と財産の割合だけ指定したい時は、包括遺贈が適しています。

具体的には、自ら所有する財産内容を把握しきれない場合や、相続の開始時点で財産状況が変化している可能性がある場合、割合だけを決めて具体的な財産内容は話し合いで決めて欲しい場合などです。

一方、特定の財産を誰に譲るか決めており、また受遺者が債務を受け継ぐことがないよう配慮したい場合等は、特定遺贈を利用することが望ましいと考えられます。

遺贈をスムーズに行うには弁護士の力を借りた遺言書作成がカギ

相続人以外の人に対する遺贈では、本来の相続人との間に感情的な軋轢や遺留分の侵害が生じることもあり得ます。被相続人としては、自分の人生における感謝を伝えるべく受遺者や相続人に財産を譲り、皆が幸せになるようにと願っているはずです。

ところが、遺贈や相続が必ずしも平和的に完了するわけではないのも現実なのです。

そのため、当事務所では弁護士に依頼して遺言書を作成することを強くおすすめしています。

ご本人が実現したいことをしっかりとヒアリングし、所有する財産状況に照らし合わせて遺贈あるいは相続時の状況を予想し、必要に応じて、当事務所が連携する税理士や不動産鑑定士の協力を得ながら、相続税や遺留分、不動産の分け方等についても適切な助言を行っていきます。

最も望まれるのは、実際に受遺者や相続人の間に揉め事が起こらず平和的に解決することですから、包括遺贈や特定遺贈の理解や活用について弁護士の専門的な力を借り、自分が望む形が実現されるよう丁寧に準備を進めることが大切なのです。

当事務所にご相談いただければ、ご依頼者様の望む遺贈や相続が叶うようしっかりとお手伝いさせて頂きますので、ぜひ、お気軽にご相談ください。

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