遺言書で実現できる様々な効力とは
遺産相続が発生すると、故人の財産は法定相続割合に基づき、相続人で話し合って分割することになります。
しかし、遺言書を残すことによって、故人が望んだように遺産分割ができるほか、相続人の身分や遺言執行者に関する故人の希望を反映させることも可能です。
ここでは、遺言書で実現できる様々な効力と、遺言書を作成すべきケースについて解説します。
遺産の分割に関する効力
遺言書があると、遺産をどう相続させるか、故人の意思が最優先されることになります。
代表的なものとして、以下のような効力が挙げられます。
遺産分割に関する指定
遺言書によって、故人は自由にその財産の分割割合を指定することができます。
ただし、遺留分が発生するリスクを十分に踏まえて遺言を残すことが大切です。
相続人以外の人物への遺贈
法定相続人以外の人物に財産を譲りたい場合は、遺言書に遺贈の旨を明記することで実現します。
相続人の身分に関する効力
相続人となる人物の身分や権利についても、遺言書は効力を発揮します。
子の認知
婚姻関係にない相手との間に生まれた子について、遺言書をもって認知することができ、正式な相続人が1人増えることになります。
後見人の指定
自分亡き後に残された未成年の子について、親権者が他にいない場合は、成年者に後見人を立てる必要があります。
遺言書では、未成年後見人を指定することもできます。
相続人の廃除
生前の故人に対し、著しく不当な態度や行為を向けてきた相続人について、遺言でその人物の相続権を剥奪し相続人から廃除するよう指定することができます。
遺言執行者に関する効力
故人としては、作成した遺言書を確実に実行してもらう必要がありますから、その役目を担う遺言執行者を遺言書で指定することができます。
ただし、遺言執行者は時間と労力を割いて遺言の実現に取り組むことになりますから、指定された人物のことをよく考え、トラブルが起こらないよう検討が必要です。
この場合、遺言書で特定の人物を指名するのではなく、遺言執行者を選任するよう記載しておくと、相続人が現状を判断しながら相応しい人物を選ぶことができます。
また当事務所では、遺言執行者への就任についても対応しております。
弁護士でも個人事務所の場合は、実際に相続が開始する前に、弁護士自身が亡くなってしまうリスクがありますが、当事務所は弁護士法人という法人であり、全国に支店がある規模の組織のため、万が一担当弁護士がいなくなっても、弁護士法人として遺言執行のサポートが可能です。
このように、継続的、安定的にサポートができるところが、当事務所の強みでもあるのです。
遺言書を作成すべきケース
遺言書は様々な効力を発揮することがわかりましたが、実際に遺言書を作成すべきケースとはどのようなものなのでしょうか。
相続権利のない人物に財産を譲りたい場合
相続権はないが、生前の自分によく尽くしてくれた内縁相手がいるといった場合は、遺言書を活用して財産を渡せるようにしておくとよいでしょう。
家庭環境が複雑、あるいは親族が多い場合
疎遠になっている子がおり、自分の世話のほとんどをやってくれていたのは近くに住む子であった場合、遺言書があれば貢献度に応じた公平な相続を実現することが可能です。
また、故人に兄弟姉妹が多い場合、仮に子が相続放棄し相続権が兄弟姉妹に移ると問題は一気に複雑化します。そのような場合の対処法についても、遺言書に記載しておくと相続人の助けとなります。
遺言書作成を弁護士に依頼するメリット
まだ元気なうちにあらゆるケースを想定して遺言書を作成しておくことは、残された家族の苦労を最大限助ける力となるでしょう。
故人の死後にわかるプラスの財産やマイナスの財産の扱い、名義変更や各種手続、相続放棄、相続権の移行や代襲相続等、家族だけですべてをこなす大変さは「その時」が来るまで本当にわからないものです。
そのような時に、先を見据えた遺言書があれば、家族の心労を取り除きつつ故人としての意思の実現も叶いますから、積極的に遺言書を作成しておくべきだと言えます。
「故人の意思を伝える遺言書」と言っても、法的なルールに基づくものでなければいけませんし、相続税の問題もあります。
遺言書があれば、財産の相続割合を指定したり遺贈を行ったりすることも可能になりますが、反面、遺留分が発生してトラブルになる可能性も考えなければなりません。
故人の思いが実現し、相続人に大変な思いをさせず、平和的かつスムーズに相続手続を進められることが理想的なのです。
当事務所では、税理士等との連携を活かしたトータルサポートが可能ですので、ぜひ早い段階からご相談頂き、具体的なアドバイスを受けて頂くことをおすすめしています。