遺産が使い込まれてしまった場合はどう対処すればいい?
相続発生前後に関わらず、《遺産の使い込み》が発覚するケースがあります。この場合、考えられる法的措置としては、① 不当利得返還請求 もしくは ② 不法行為に基づく損害賠償請求 という選択肢が考えられます。これらは遺産分割とは別で必要な手続きです。立証なども関わってくるため、できるだけ弁護士のサポートのもと手続きを進められることをお勧めします。
ここでは、遺産の使い込みがあった場合の対処法についてお伝えします。
遺産の使い込みが発覚した場合の対処法は?
冒頭でもお話しした通り、遺産の使い込みに対しては以下2つの選択肢が考えられます。
- ① 不当利得返還請求
- ② 不法行為に基づく損害賠償請求
それぞれの法律の条文を見てみると、
不当利得の返還義務 | 民法703条:「法律上の原因なく他人の財産又は労務によって利益を受け、そのために他人に損失を及ぼした者(以下この章において「受益者」という。)は、その利益の存する限度において、これを返還する義務を負う。」 |
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不法行為に基づく損害賠償 | 民法709条:「故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。」 |
となっています。
使い込みによる権利侵害はこれに両者に当てはまるため、どちらの方法でも返還を求めることが可能です。
「不当利得返還請求」と「不法行為に基づく損害賠償請求」の違い
両者の違いとしては時効消滅の期間が挙げられます。
不当利得返還請求 | 不法行為に基づく損害賠償請求 | |
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時効消滅までの期間 | 行為時より10年 | 損害及び加害者を知った時から3年 |
以上の通りとなっておりますので、ケースバイケースで使い分ける場面も想定できます。例えば、使い込みがあってから10年以上たっているが、使い込みを知ったのが3年未満であれば「不法行為に基づく損害賠償請求」ができますし、逆に使い込みの事実を知っていたにも関わらず3年以上放置していたとしても、使い込みがあってから10年以内であれば「不当利得返還請求」を行うことが可能です。
しかしながら時効消滅してしまっては裁判で請求が認められることはありませんので、早め早めに対応をとっておくことが重要です。
「時効がもうすぐ」というタイミングで訴訟等を考えている等の場合には、内容証明郵便を相手方に発送しておくことで時効消滅の期間を6ヶ月延長することができます。その間に訴訟を提起することもできますので、時効消滅を間近に控えた方も、諦めず当事務所までご相談ください。
請求を成立させるには「証拠」が重要となる
また、請求を成立させるには使い込みを立証できる「証拠」が重要となります。あとは使い込まれた具体的な金額です。これらが揃って初めて有効な請求ができますので、何が有効な証拠となるか、または証拠保全の方法などを知るためにも、できるだけ弁護士のアドバイスをもらいながら進めることが賢明と考えられるでしょう。
以下、請求の際に有効な証拠となりやすいものの参考例です。
- 銀行口座の取引明細書
- 領収書
- 贈与契約書
- 日記・メモ等の手記
特に銀行口座の取引明細書は、「いつ、どれぐらいの金額が動いたか」ということが明確にわかりますので、証拠としてはかなり有効度が高いでしょう。
また、日記やメモなどの手記も証拠として認められるケースが多々あります。
ひとつの証拠では立証力が弱くても、複合的に組み合わせることで、使い込みがあった事実を客観的に立証できることも多々あります。どのような証拠を集めればいいか、ご相談いただければさらに詳しくご説明しますので、まずは一度当事務所の弁護士までご相談ください。
遺産の使い込みに関する返還請求は当事務所にお任せください
遺産の使い込みは相続トラブルの中でも典型的なものです。当事務所でも多数の取り扱い事例がございますので、まずは一度ご相談ください。
特に使い込みトラブルで重要となるのが「証拠収集」です。有効な証拠がなければ請求自体が成立しません。ここで証拠がないと困る方がいらっしゃいますが、単体では立証力が弱くても、いくつかを組み合わせることで使い込みの事実があぶり出されることも多々あります。さらに多数の相続トラブルを扱っていると、経験則から「どのあたりを調べれば証拠が出てきそうか」という目星をつけることもできます。
使い込みによる相続トラブルにお困りの方は、一度ご相談ください。初回相談は無料です。またご予約をいただければ土日や夜間のご相談にも対応しております。相続分野に経験豊富な弁護士が現在のお事情をお伺いし、どのような方法で返還請求ができそうか、弁護士から具体的な見通しと方法についてお話しさせていただければと思います。