相続手続きのスタート地点となる「相続の開始日」と「相続の開始地」とは
家族が亡くなると、故人が所有していた様々な財産について相続の手続きを行わなければなりません。手続きの中には期限が決められているものもあり、その際に「相続の開始日」と「相続の開始地」が重要な起点となってくるのです。
ここでは、相続の開始日と開始地について解説します。
故人の死亡日が相続の開始日となる
民法では、故人の死亡をもって相続の開始日としており、故人は「被相続人」、その家族は「相続人」と呼ばれるようになります。
相続では、故人が所有していたプラスの財産だけではなく、借金などマイナスの財産を含めて相続することになり、死後間もなくそのための諸手続を進めていかなければなりません。
相続で発生する手続きとは?
死亡届の提出
故人の住所地がある役所に死亡診断書と死亡届を出し、火葬の許可を得て葬儀を行ったら、世帯主変更や年金手続きを行います。
配偶者が亡くなった場合、世帯主変更により保険証が改めて発行され、また遺族年金受給のために役所や社会保険事務所に出向く必要があります。
遺言書の探索
自筆証書の遺言書が自宅で見つかった場合などは、家庭裁判所の検認を受けて内容をあらため、遺産分割に関する故人の遺志を確認します。
財産調査と目録の作成
財産とは、金銭的価値のあるものだけではなくローン等の債務も含みます。全ての財産を把握できたら目録を作成し一覧で確認できるようにしておくと、遺産分割協議の際等に大変便利です。
相続放棄
財産内容を確認した上で、相続人は故人の財産を受け継ぐかどうかを選択することができます。負の財産が多い場合等は、家庭裁判所に申し立てて相続放棄することも可能です。
ただし、相続放棄は、原則として相続の開始を知った時から3か月以内に申し立てる必要があるため、財産調査から相続人の意思決定までスムーズに進める必要が出てきます。
相続人の確定
相続人の確定には戸籍調査が必ず伴います。もし相続人に漏れが発覚した場合は遺産分割協議はやり直しになるので、十分に注意しましょう。
準確定申告
通常、1月1日から12月31日までの収入に基づき確定申告を行いますが、年度の途中で亡くなった場合は、死亡日までの収入から納税額を求め納めなければなりません。
これを準確定申告と呼び、対象となる人は通常の確定申告と同じく、相続の開始から4か月以内に手続きと納税を済ませる必要があります。
故人が病気で死亡した場合は、治療のために多額の費用がかかっていることがあり、準確定申告を行うことで医療費の還付を受けられることもあります。
相続税の手続きと納付の完了
相続税の納付完了までの期限は、相続の開始から10ヶ月以内となっています。
限られた時間の中で多種多様な手続きを迅速に進めていく必要がありますので、全体の流れを整理した上で効率的に行動していくことが大切です。
故人の最後の住所地が相続開始地となる
民法883条では、被相続人である故人の最後の住所地が相続開始地と定められています。
一般的には住民票上の住所と一致することが多いですが、住民票に登録された住所とは異なる場所に住んでいた場合は、実際に住んでいた住所が相続開始地となります。
遺言書の検認、相続放棄や遺産分割協議に関する調停等の申立ては、相続開始地を管轄する家庭裁判所に対して行うことになります。また、相続税についても、相続開始地の税務署に対して手続きと納税が必要です。
家族が亡くなったらまず弁護士へ相談を
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